極小エリアマガジン
城南区西片江2丁目
#29
Interview
「“卒業後もずっと住み続けたい!” 学生とファミリーに人気の西片江。」
『大和家(やまとや)』 オーナー・分山和彦さん

“卒業後もずっと住み続けたい!” 学生とファミリーに人気の西片江。

今回注目するエリアは、福岡市城南区西片江。西日本最大級の規模を誇る福岡大学の南側に位置し、地下鉄七隈線「福大前駅」から歩いてすぐの場所だ。このまちの人気スポットと言えば、1982年創業の食堂『大和家(やまとや)』。これまで40年の間、福大生を中心とするまちの人々に活力を与えてきた大将・分山和彦さんに、西片江の昔と今の変化や、地域の特性について伺ってみよう。

西日本屈指のマンモス大学が放つ、活気と熱気に惹かれたのが始まり。

福岡大学正門から南へ徒歩5分。西片江の人気食堂『大和家』は、2022年で開店40周年を迎える。長年福大生の胃袋を掴み、心と体にスタミナを与え続けてきたのは、笑顔が眩しい大将・分山和彦さん。今も夕方以降は厨房に立ち、顔なじみの常連客に「元気しとるね?」と声をかけながらグータッチを交わす。このアットホームな雰囲気は今も昔も変わらない光景だ。

40年前、分山さんはなぜこの地にお店を開くことにしたのか。エリア選びの理由について聞いてみた。

「10代で上京し、飲食店の責任者として働いていたんだけど、ちょうどお店が早稲田大学の近くにあって、ラグビー部や柔道部の学生たちがよく食べに来てくれていました。自分も運動が好きだったから『スポーツに励む子たちがお腹いっぱい食べられるように』という思いでごはんを作っていましたね。20代で福岡に戻り、再び飲食店を開くと決めた際に、以前のように大学の近くがいいなと思ったんです。その環境として、福岡大学周辺が一番理想的でした。西日本最大級のマンモス大学ですし、スポーツにも力を入れていますよね。それこそ当時は、スポーツに関しては九州一の最強大学で、グラウンドや体育館、プールは人で大賑わい。早大近くで働いていた頃とまちの空気感や立地とも重なり、福大のグラウンドに最も近い西片江の物件を選びました」

福岡大学の卒業式の後は、「大和家で記念写真を撮る」ことが卒業生の恒例に

「開店当時の店は、今の店舗から福大方面へ200〜300mほど行った場所にあり、大学のグラウンドに挟まれた立地だったんですよ。正面にサッカー場があって、その並びに剣道、柔道、空手、バスケットの練習場、店の裏には野球場、ハンドボールのコート、店の右手にはテニスコート。360度グラウンドに囲まれて、まるで福大キャンパス内に身を置いているような環境でしたね」

それからしばらく経ち、2000年代に福岡高速環状線の新設と道路拡張工事により立ち退きが決定。分山さんは移転先も同じ西片江の物件を選んだ。「創業以来ずっと親しまれてきた場所に近い方が、お客さんにとってもいいと思ってね」。その言葉の通り、今も昼夜問わず大勢の学生やサラリーマンが訪れ、根強い人気ぶりが伺える。

このまちを語る上で欠かせないランドマークの福岡大学は、2019年に創立85周年を迎えた私立大学。9学部31学科、2万人以上の学生を有し、25万人以上の卒業生を社会に輩出した西日本最大級のマンモス大学だ。

キャンパス内には複数の食堂やレストラン、200万冊以上の蔵書を有する図書館、売店やコンビニエンスストアが設けられ、一般者の利用も可能(※図書館はコロナ禍の影響で現在学生のみの利用)。11月になると学園祭「七隈祭」が行われ、有名アーティストによるライブや講演会などが催され、福大生以外の人々も多く詰め掛ける。

福岡大学に隣接する福岡大学病院は、福岡市西部地区の中核を担う総合病院。救命救急センターを併設し、24時間365日最先端医療を提供しながら地域救急医療に貢献している。ちなみに病院北側には、城南区を専管する新しい警察署『城南警察署』が2022年4月に開庁予定だ。城南区初の警察署とあって、防犯・防災、事故などの緊急対応、また地域の治安維持への期待が注がれている。

まち派?山派?駅近派? 片江エリアの中でも場所によって雰囲気が一変!

ところで、片江エリアは「片江」「西片江」「南片江」と地区が細分化されているが、それぞれの特色はどんな部分だろう。

「その昔、西片江は学生寮や下宿、貸間(貸し部屋)が多かったけれど、うちの店と同じように、2002年頃から道路工事の都合で多くの建物が立ち退くことになりました。7〜8年かけて工事された福岡高速環状線や福岡外環状道路(国道202号)が2010年頃に開通し、大通り沿いはずいぶんと景色が変わりましたよ。『大和家』の横にあった農業用水の貯水池も埋め立てられて、今は小さなブルペン(野球の投球練習場)になっていますしね。とはいえ土地柄、学生向けのアパートは今も多数あり、最近ではマンションも増えてきて若い夫婦の姿も目にします」

学生街とあって単身者向けのアパートやマンションが目立ち、他のエリアに比べると賃料も手頃な物件が多い。周りの飲食店も良心価格でコストパフォーマンスに優れている店が充実している印象だ。

「2005年に地下鉄七隈線が開業し、天神エリアにつながる『福大前駅』の利用が可能になりました。来年度には博多駅につながる延伸事業の開業が予定されているので、さらに都会までサッと行けるようになりますね。片江エリアの中でも西片江が一番駅に近く、徒歩10分圏内なのでとても便利な立地だと思います!」

西片江の東側は南片江につながる。南片江は西片江の2倍ほど広く、油山のふもとまで範囲を占め、交通量の多いバイパス付近と山寄りのエリアに二分される。全体的な印象としては、自然と寄り添う閑静な住宅地。分山さんのお子さんは西片江と南片江の境にある「福岡市立片江中学校」に通っていたそうで、グラウンドのすぐ奥が山のふもとに繋がるロケーションだったとか。「豊かな自然を間近に感じられてほっこりできますね。以前家を建てた際には、この辺の土地も探しましたよ。今自宅は別の場所にありますが、もしもまた家を探すとしたらこの辺りもいいなと思います」と分山さん。

片江はさらに範囲が広く、福大通りと都市高バイパスの2つの大通りに挟まれた住宅地で、西片江や南片江よりも賑やかな印象。大通りから中へ入ると道幅が狭く、いくつもの入り組んだ道があり、そこに一軒家やアパートが連なる。福大の通用門の向かい側は片江の住宅地になるので、学生寮や学生向け単身アパートなどが特に充実している。

福岡大学の通用門の道向かいは片江エリアとなる

このまちを通る主要道路についても紹介しておきたい。

福岡都市高速の環状線と外環状道路(国道202号線)は、福大キャンパスの南側を通り、片江、西片江、南片江のすべてに面する。福岡外環状道路は4車線での供用となっていて、朝夕に通勤ラッシュが起きるほど一帯の動脈を担っている。ちなみに、都市高速道路において西片江住民の最寄り出入り口は「野芥」になる。

福大通りは城南区片江から早良区干隈(Vol.26 干隈編参照)を結ぶ約2.6kmの道路。福大キャンパスの北側を通り、沿線には銀行やスーパーマーケット、飲食店、大型チェーン店、カラオケボックス、レジャー施設などが並び、活気ある雰囲気。

福大通り(写真左)と油山観光道路(写真右)

油山観光道路は、城南区片江の油山展望台付近から中央区六本松までをつなぐ約7kmの道路。片江側にはドラッグストアやスーパーマーケット、ガソリンスタンド、飲食店などがあり、この通りに行けば生活に必要なものがすべて揃うイメージ六本松や大濠公園、天神方面へ車で向かう際は、油山観光道路を利用することになるだろう。

リフレッシュできる自然豊かな場所が今も残っていることがうれしい。

インタビューの最後に、分山さんに近所の思い出スポットやお気に入りの場所について聞いてみた。

「20〜30代の頃は学生と一緒に、この辺りでよく体を動かしていたよ。トレーニングの一環で店の裏手にある坂道をダッシュしたり、梅林登山口の階段を上り下りしたり、みんなで汗水を流していたなぁ。当時を思い出して数日前に登山口に行ってみたら、昔と同じ景色が残っていて、風情があって良かったよ」

『大和家』の裏手にある住宅地の坂道と、梅林登山口の階段

標高90mの梅林登山口(通称:梅林緑道)には急勾配の階段があり、登っていくとまちの景色を一望できる広場に到着する。ハイキングを楽しむ人や犬を連れて散歩する人の姿が見られ、澄んだ空気の中でリフレッシュができて軽い運動にも最適。また、絶景と言えば『油山・片江展望台』も福岡屈指の夜景スポットで、標高597メートルの油山の中腹にある展望台だ。

人を愛し、自然を愛し、地域に根ざす分山さんに、これからの片江エリアに期待したいことを尋ねた。

「この40年の時代の流れを見ていると、まちだけじゃなく、学生さんの雰囲気も今は変わって、以前に比べるとヤンチャな子よりお利口さんで身だしなみもきれいな学生さんが増えたように感じるね。もちろん、食べ盛りの子たちが多いのは変わりありません。だからこそ飲食店や物販店がもっともっと増えたらいいなと思います。福大を中心としたこのまちを賑やかに盛り上げていきたいですね!」

分山さんには19歳のお孫さんがいるそうで、「もしも孫が一人暮らしするとしたら、片江付近をすすめたいな。大学に近くて駅にも近い。近所に総合病院があるし、ちょっと行けばスーパーやコンビニもあっていろいろ便利だからね!」と太鼓判!便利な上に家賃が手頃とあって、大学卒業後も引き続き片江で暮らすOB生が多いというのも納得できる。2022年に予定されている地下鉄七隈線の延伸事業でさらにアクセス性が上がり、毎日の通勤・通学も快適になること間違いなし。様々な面でコストパフォーマンスに優れている西片江の魅力は、これからもますます高まりそうだ。

Recommend Spot in Nishikatae

森の中でアドベンチャー! 西片江からスグのハイキングコース。

■梅林緑道~油山片江展望台のハイキングコース
住所:梅林緑道(梅林登山口):福岡市城南区梅林1-9-34、油山片江展望台:福岡市城南区片江106-1

『大和家』裏手の梅林緑道の階段をのぼると登山口に到着。勾配のある細い山道は初心者〜中級者向けのハイキングコースとなっており、片江山、妙見山、油山市民の森へと続く。ところどころに展望台があり、パノラマビューで街の景色を楽しめる。「森からパワーをもらえるよ!」と分山さんもニッコリ。歩きやすい靴と服装で登ってみて。

I’m Here
大和家(やまとや)

住所:福岡市城南区西片江2-2-1
TEL:092-861-0982
営業時間:11:00~L.O.22:00
定休日:日曜

「安くて旨くてお腹いっぱい!」の3拍子が揃う、1982年創業の人気定食店。唐揚げが山盛りにのった「とり唐揚丼」は550円(税込)、「豚肉生姜焼き丼」は500円(税込)と、60種類以上あるメニューはどれも良心価格。+100円で大盛りに変更することができ、器からこぼれ落ちそうな圧倒的ボリュームから“メガ盛り”とも呼ばれている。とり唐にはガーリックとフルーツに2日間漬け込んだ鶏もも肉を使用。カリッと香ばしい衣と肉汁溢れる肉の旨味、プリッとした食感に感動! 最近は持ち帰れるお弁当も大好評。 ※写真のとり唐揚丼は通常サイズ

〜 エリア紹介:城南区西片江2丁目 〜

福岡市城南区の南部に位置する住宅地。福岡大学に隣接していることから学生寮や単身者向けアパート、大学用のグラウンドが点在し、学生街としても発展している。2005年に地下鉄七隈線が開業し、最寄り駅の「福大前駅」から六本松や天神まで短時間で移動できるように。また2022年には七隈線の延伸事業開業が目指されており、博多駅にも地下鉄一本で行き来が可能になるので、アクセス性が格段にアップ。福岡高速環状線と福岡外環状道路(国道202号)も通っているので車を利用した移動もスムーズ。このように移動手段が充実していながら、学生街の特性上、アパートやマンションの賃料が比較的手頃なので、最近は社会人やファミリー層にも人気が広がっている。

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