極小エリアマガジン
福津市西福間2丁目
#50
Interview
「宅地開発で利便性アップ! 全国から移住者が集まる福津の魅力」
『platenne(プラテネ)』 オーナーシェフ・土生将之(はぶ のぶゆき)さん

宅地開発で利便性アップ!全国から移住者が集まる福津の魅力

今回ピックアップするのは、福岡市と北九州市の中間地点に位置する福津市。2005年に旧福間町と旧津屋崎町が合併したことで生まれた比較的新しい市で、「全国住み続けたい街ランキング2022」(「生活ガイド.com」参考)では全国1位に輝き、近年注目を集めるホットなまち。そんな福津市の暮らしやすさと地域の魅力を深掘りするために、西福間に店舗を構えるフレンチレストラン『platenne(プラテネ)』のオーナーシェフ・土生将之(はぶ のぶゆき)さんにインタビュー。住まいも同市という土生さんに、福津暮らしについて話を伺った。

食のプロも注目する福津の農水産業。“市民の台所”も充実!

JR福間駅から西方面に歩くこと約15分。目の前には様々な川魚や鳥類が住む西郷川が流れ、東側には小高い山、西側の奥地には福間海岸が広がり、自然とまちと住宅地がバランス良く溶け込むロケーションだ。ここで小さなフレンチレストランを営むオーナーシェフの土生将之さんは、独立前に福岡の有名フレンチレストランに勤め、福岡や大阪、パリなどの支店で活躍し、料理長まで務めた実力の持ち主。そんな凄腕のシェフが福津を拠点にした理由とは?まずは独立開業のエリア選びについて、土生さんに話を聞いてみたい。

「前職時代に話が遡りますが、パリへ単身赴任していた頃、妻と子供は地元の北九州で暮らしていました。帰国後僕も家族がいる北九州に住み、配属先の博多まで通勤していたのですが、やはりちょっと遠くて…。しばらくして北九州と博多の中間地点・福津に引っ越すことにしたんです。なので、もともとここに住んでいたという前置きがありますね」

2017年から住まいを福津市に移した土生さんは、家族優先の暮らしと独立への想いを温めながら料理長として邁進し、当時から野菜や魚介類などの食材を仕入れるために地元の生産者のもとへ足を運んでいたそう。その中で、福津や古賀、宗像、宮若など、この界隈の生産者とも知り合う機会があったという。

「福津近郊には知り合いの農家さんが複数いて、さらに、この辺りは津屋崎漁港も近いことから海の幸にも恵まれています。大切な家族が住む自宅のそばで、なおかつ食材の仕入れ環境としてもバッチリのエリア。独立開業の地に福津を選んだのは、色々な条件が揃っていたからというのが率直な答えですね」

『プラテネ』では福津近郊でとれる新鮮な野菜をたっぷり使用する

「福岡の野菜の産地といえば糸島や朝倉が有名ですが、福津をはじめ古賀、宗像、宮若なども農水産業分野が盛んで注目を集めています。この界隈の農家さんはみんな個性豊か。自然と向き合いながら減農薬や農薬不使用の野菜を育てていたり、芯のあるセオリーを持っていたり、常に新しいことに挑戦しながら、柔軟な姿勢でこだわりを突き詰めています。そういうスタンスにとても共感します。僕も自分のスタイルを固定しすぎず、その時々の出会いやひらめきを大切に、自由に料理をつくっていきたい。職種は異なるけれどフィーリングが合う農家さんがいることも、福津を拠点にしてよかったと思うポイントですね」

福津でとれた野菜や魚介類などは、市内の直売所で気軽に手に入れることができる。『プラテネ』がある西福間から車で約10分の場所にある『ふれあい広場ふくま』(福津市上西郷)や『あんずの里』(福津市勝浦)では、生産者から直接仕入れる新鮮な野菜やフルーツ、鮮魚を取り扱い、手作りの農産加工品なども販売している。また、津屋崎にある農水産物直売所『お魚センター うみがめ』も土生さんの行きつけのスポット。店内に生簀があり、津屋崎漁港で水揚げされた鮮魚が種類豊富に揃う。どの直売所も地域住民に親しまれ、昼すぎには品切れする商品も多数あるので、早めの時間帯に行くのがおすすめだ。

新鮮、安全、安い、おいしいで評判の『ふれあい広場ふくま』

近海で獲れた魚介類や加工品、農産物も並ぶ『お魚センター うみがめ』

大規模な開発事業で利便性と快適性、さらに人口も年々上昇。

西福間から徒歩圏内の「JR福間駅」はJR鹿児島本線の快速停車駅。通勤・帰宅ラッシュ時の朝と夕方は、快速電車に加え一部の特急電車も停車し、快速電車で25分、特急電車で15分と短時間で博多駅を往来できる。

ちなみにJR福間駅周辺は、ここ10〜20年で新築マンションの建設が相次ぎ、スーパーやドラッグストアなど生活必需品を揃える店舗やおしゃれなショップが続々とオープンしている。その背景は2004年頃に始まった「福間駅東土地区画整理事業」にあり、国道3号と住宅街を結ぶ道路網の整備や、JR福間駅の利便性を活かした都市基盤の整備など、定住化促進を目指すまちづくりが行われてきたからだ。

国道3号沿いには大型ショッピングセンター『イオンモール福津』が建ち、映画館やアミューズメント施設、家電専門店など幅広いショップが大集合。海や山だけでなく、イオンモールなどの大型施設も休日のお出かけスポットとして親しまれ、良質なベッドタウンから活気ある“リビングタウン”としてまちが成長を遂げた。

店舗面積63,000㎡を誇る『イオンモール福津』

ちなみに、JR福間駅西側の西福間5丁目は「シーサイドパーク海岸通り」という分譲住宅地が2017年に誕生し、子育て世帯の転入が瞬く間に増加。九州だけでなく全国からも移住者が集まり、現在も福津市の人口推移は右肩上がりを続けている。

西福間5丁目の新興住宅地「シーサイドパーク海岸通り」

「僕の周りにも他県から福津に移住してきた方がいらっしゃいます。東京でバリバリ働いてきた方が農家としてのセカンドライフを送っていたり、リモートで講義するアメリカの有名大学の教授が住んでいたり、キャリアもバックボーンも様々な人たちが福津に住んでいるので、色んな個性が集まっていて面白いですよね。もともと福津に長年住む地元の方も、移住者の方や若い方を受け入れている様子です。ヤングファミリー層が増えたことで子供の数も増えていますし、これからも活発なまちになることを期待しています」

福津市教育委員会の話によると、2023年度開校を目指し、西福間の近くに小学校が新設されるとか。福津市の教育環境における取り組みは、今後も注目し続けたいポイントだ。

福津暮らしの魅力はここにも!人、自然、食の自慢ポイント。

『プラテネ』をオープンして以降、尊敬できる生産者や飲食店オーナーとの出会いに恵まれていると語る土生さん。人とのつながりによって、シェフとしての向上心や料理のクオリティに磨きをかけられているのだとか。

「有機小麦を自家製粉してパンづくりを行うベーカリーショップ『ベッカライ アロ』さんや、津屋崎海岸の近くにクラフトビール醸造所を構える『ミチクサ醸造所』さん、スペシャルティーコーヒー専門の自家焙煎珈琲屋『くつろぎ珈琲』さんなど、素材の質や製法にこだわりながらおいしいものを提供するプロフェッショナルな方々が近くにいるのは、僕にとっても刺激的でうれしいことです」

『ベッカライ アロ』がつくる全粒粉100%のパンは、午後に完売することが多いほど人気で、土生さんのレストランでは同店のバケットを使っている。また、築100年を超える旅館跡に工房を構える『ミチクサ醸造所』は、料理の味を引き立たせる“食事に合うクラフトビール”を製造するブルワリー。ビール好きのお客さんに料理とのペアリングを楽しんでもらえるようにと、土生さんも『ミチクサ醸造所』のクラフトビールドをメニューに取り入れている。

(写真左)『ベッカライ アロ』のパン、(写真右)津屋崎に工房を構える『ミチクサ醸造所』

「『くつろぎ珈琲』さんのコーヒー豆もうちの店で使わせてもらっています。マスターがとても穏やかな方で、コーヒーのおいしさに人柄が滲み出ているなぁと感じます。前職では家と職場の往復だけだったのですが、自分の店を持ったことで地域の方と関われたり、地場の魅力に触れたり、有意義な時間を過ごせています。まだまだ十分な時間は取れていませんが、“あの店主に会うためにお店へ行く”という小さな習慣を楽しめるようになりましたね」

土生さんのお気に入りスポットの一つに、宮地嶽神社の参道沿いに建つ『ネオラログイン』がある。ここは“現代風商店街”をテーマにした、キューブ型の店舗が10軒以上集まる一角だ。その中に『くつろぎ珈琲 宮司店』も軒を連ね、土生さんは食材の仕入れの帰り道にコーヒーブレイクを挟み、束の間のリフレッシュを楽しんでいるとか。敷地内では週末を中心に、作家のハンドメイド雑貨を集めたマルシェやキッチンカーの出店など、賑やかな地域イベントが繰り広げられている。

雑貨店や花屋、コーヒーショップ、ベーカリーショップなどが集まる『ネオラログイン』

「歴史ある風情が漂う津屋崎千軒や宮地嶽神社も好きですね」と語る土生さん。福津市が誇る観光名所、宮地嶽神社では様々な祭事やイベントが行われ、季節の風物詩や伝統文化を身近に感じられる。本殿だけでなく、その奥にも「奥之宮八社」と呼ばれる神社が建ち並び、八社を巡るとどんな願いも叶うという言い伝えがあるとか。また、参道から海岸までの一本道が夕焼けの光で神々しく照り輝く、通称「光の道」も有名。太陽の位置の関係で、毎年2月下旬と10月下旬が「光の道」の見頃となる。

宮地嶽神社から望む「光の道」※写真は9月中旬の様子

そして、海が近いのも福津暮らしの大きな魅力。福間海岸から宮地浜海水浴場、津屋崎海水浴場まで、緩やかな弧を描くビーチが広がり、海沿いにはマリンスポーツの施設やカフェがいくつも連なる。美しい海を眺めに遠方から訪れる観光客も多いが、福津市民ならパッとビーチに立ち寄ることができ、日常のリフレッシュスポットとして楽しめる。まさに、この地域に住む特権だ。

「海や山など豊かな自然に囲まれていますし、イオンモールやスーパーマーケットなど生活に必要な施設も揃っているので、子育ての面でも快適な環境だなと思います。福岡市内にも北九州市にも車で30〜40分で行けて、JR福間駅もスグ近く。交通の便にも恵まれた絶好のベッドタウンですね。これからも福津の暮らしを楽しみたいと思います」

住環境の快適性と利便性の飛躍的な向上により、子育て世帯を中心に注目を集める福津エリア。その人気の背景には、新鮮な野菜や魚介類を届けてくれる頼もしい生産者や、おいしさとクオリティを追求し続ける飲食店、気分をほっと和ませてくれるアットホームな人々、さらに雄大な自然の数々も欠かせないエッセンスとなっている。心の温かさと豊かさを感じながら、この先も長く住み続けたい。そう思わせる魅力が福津にあることをしっかりと実感できた。

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「九州の湘南」と呼ばれる、西日本有数のウィンドサーフィンの聖地

■福間海岸
住所:福津市西福間4丁目

約2kmにわたり続く白い砂浜、青々とした松林、ウミガメが産卵に訪れるほどきれいな海。「海を眺めるだけでリフレッシュできますし、子供たちも貝殻を拾いに行って楽しんでいます」と土生さんもレコメンド。干潮・晴天・穏やかな風という3つの条件が揃えば、濡れた砂浜や潮溜まりが空を映す「かがみの海」の景色を楽しめる。昼間はもちろん、美しいサンセットも一見の価値あり。

I’m Here

platenne(プラテネ)

住所:福津市西福間2-17-25
TEL:050-8883-8496
営業時間:ランチ11:30/13:00〜、ディナー18:00~/19:30〜(※前日11:00までの予約制)
定休日:日曜
https://www.instagram.com/fukutsu_platenne/

『platenne(プラテネ)』とはフランス語の造語で、「植物」「大地」「人」の3つを組み合わせた言葉。料理をする上で欠かせない大切な要素として、敬意を込めて名付けられたネーミングだ。信頼を寄せる地元農家が育てる野菜や九州の食材を使い、型にとらわれないグランメゾン級の料理と、“ここだけで味わえる”食体験を提供する。店内はカウンターテーブル8席と6人掛けのテーブル席を配し、木を基調とした落ち着いた空間。福津界隈の食の恵みをたっぷりと、コース形式で心ゆくまで堪能できる。

〜 エリア紹介:福津市西福間 〜

福岡市と北九州市の中間に位置し、JR福間駅から徒歩圏内の住宅地。福津エリアの主要道路の一つである県道97号が通り、福間小学校や福間体育センターも地区内に建つ。スポーツ&保養施設「サンピア福岡(旧厚生年金)」の跡地が分譲住宅地「シーサイドパーク海岸通り」に変わり、現在500戸近くの戸建て住居が並ぶ新興住宅地となっている。西側は福間海岸に面し、愛犬と散歩する住民や釣りを楽しむ人も多く見られ、心身ともにリフレッシュできる環境。また近所にスーパーやコンビニが充実し、車で約5分の場所にイオンモール福津、観光名所の宮地嶽神社もある。ここ10年ほどでヤングファミリー層が増え、まちづくりも積極的に行われている。

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