極小エリアマガジン
福岡市早良区藤崎1丁目
#52
Interview
「県内屈指の文教地区。周辺環境にも恵まれた藤崎の暮らし」
『捏(つくね)製作所』 オーナー・菅原淳思(あつし)さん・慶さん

県内屈指の文教地区。周辺環境にも恵まれた藤崎の暮らし

今回フォーカスするのは、福岡市早良区藤崎。東側に西新、北側に百道、西側に室見、南側に原と、人気住宅地に囲まれたエリアで、藤崎もファミリー層を中心に人気を集めるベッドタウンだ。地下鉄沿線であることから何不自由なく生活を送ることができそうだが、もう少し解像度を上げて藤崎の暮らしを覗いてみたい。そこで、藤崎1丁目に飲食店を構える『捏(つくね)製作所』のオーナー・菅原淳思(あつし)さん・慶さんご夫妻から、藤崎の住環境や地域の魅力について話を聞いてみた。

“藤崎一択”だった菅原さんのエリア選び。その理由とは?

福岡市早良区藤崎といえば名門校が集まる文教地区の顔を持ち、周辺には進学塾が建ち並び、子育て世帯に注目を集める住宅地。そんな中心部の繁華街から一歩離れた藤崎に、わざわざでも訪れたいと県内外の人々が足を運ぶ人気店がある。それが菅原淳思さん・慶さんが営む、つくねと純米酒を提供する酒場『捏製作所』だ。菅原さんご夫妻は2008年に京都で店を始め、2015年に地元である福岡にUターンした。京都にいた頃から「いつかは福岡に戻って店をやりたい」と思っていたそうだが、福岡での再出発の際に「藤崎」を選んだ理由は何だったのだろう。

淳思さん:「京都に住んでいた時から福岡に戻ることを決めていたので、帰省の際に出店エリアの候補を探しに、妻と自転車で回っていました。もともと福岡市中央区の繁華街は候補地から外していたので、それ以外のエリアでどこかいい場所がないかなと。ちょうど橋本から西新方面へ自転車を走らせる中で、藤崎のまち並みが穏やかで好印象を抱いたんです」

慶さん:「私は福岡市内出身ですが、藤崎にゆかりがあるわけではなく、学生の頃も『西新には行ったことがあるけど藤崎には足を踏み入れたことがない』という状況でした。出店先を検討するにあたり、自分たちの目でちゃんとエリアの雰囲気を確かめたい、そこで感じた印象を大事にしたいと思いました。長い時間を過ごす場所だからこそ、フィーリングが合うまち、そして気に入った物件を選びたいという思いがありましたね」

淳思さん:「藤崎通り商店街の様子を見ていたら想像よりも個人オーナーの飲食店が少なく感じました。僕らの店は、つくねをアテに純米酒の熱燗を提供する酒場。藤崎のまちには個人経営の酒場が少ないからこそ、未開拓の地で試してみたいという思いにかられましたね。また、藤崎はマンションがたくさん並ぶ住宅地。特に暮らしにゆとりがある人や、上質なものを求める人が多く住んでいるように感じたので、出店先としてぴったりだとも思いました」

「土曜夜市」や「夢まつり」など恒例行事も行われる藤崎通り商店街

菅原さんご夫妻が店を開いたのは、商店街から一歩離れた閑静な住宅地

夫婦で中央区から南区、城南区、早良区までぐるりと自転車で回った結果、“藤崎一択”で出店エリアを絞り込んだという菅原さん。近所に早良区を代表するグルメタウン・西新が隣接するが、目もくれずピンポイントで藤崎を選んだところも興味深い。

淳思さん:「西新は学生さんが多くて賑やかですが、それに比べると藤崎はゆったりとして全体的に落ち着いています。そのまちの穏やかさが直感的にいいなぁと感じたんです。うちはお酒がメインのお店なので、ゆっくり味わっていただける環境が大切。だから藤崎がちょうど良かった」

慶さん:「この物件を内見した時に、道路越しに広がる公園のほのぼのとした雰囲気に癒されました。遊具がたくさんあるから子供たちも毎日遊びに来て、そんな光景を眺めながら仕事したら気持ちいいだろうなと二人で話し、この物件に決めました」

「福岡随一の文教地区」「優れた交通アクセス」という地域の特色。

冒頭で述べたように、藤崎をはじめ西新や高取など、この一帯は福岡県内でも指折りの文教地区。藤崎が校区の高取中学校は学力レベルの高さに定評があるマンモス校で、近所には「公立御三家」と呼ばれる県内公立トップ高校の福岡県立修猷館高等学校もある。これまで多くの政治家や有名人を輩出した修猷館高等学校、ならびに西南学院大学を志望し、受験を見据えて藤崎界隈に引っ越してくる子育て世帯も多いようだ。

淳思さん:「この辺りは教育熱心な親御さんが多いということを、物件を決めた後に知りました。近くの高取小学校は、福岡市内でもトップクラスの人気を誇る小学校だとか。進学塾もたくさんあって、これだけ学びの環境が整っていたら、お子さんの教育環境を考えて藤崎界隈に引っ越してくるご家庭が多いのも納得ですね」

藤崎に住む生徒が通う高取中学校

入学志望者が多い福岡県立修猷館高等学校。近隣には進学塾がずらり

淳思さん:「3年前に店を昼営業に切り替えたのですが、朝の出勤中に登校する子供たちをたくさん見かけるようになりました。夜は夜で、塾へ通う子供たちの姿や送迎する親御さんたちをあちこちで目にします。そういった場面でも『やっぱりこの辺りは子育て世帯が多いんだな』『教育熱心な方がたくさんいるな』と実感しますね」

慶さん:「朝から活発に動いている人が多いのも印象的ですね。平日の出勤ラッシュ時はもちろん、土日も朝から商店街を散歩する人や、駅に向かって歩く人を大勢見かけます。ちなみに、住宅地とあって夜は静か。藤崎はひとり暮らしする学生の住民が少なく、ファミリー向けのマンションが多いので、生活リズムが規則的で健やかなムード。夜に帰宅中のご近所さんを見かけるのですが、自営業の方より会社勤務の方が多い様子です」

ところで、藤崎で思い浮かべるのは、地下鉄空港線・藤崎駅の存在。西新駅と室見駅の間に位置し、天神駅まで10分、博多駅まで15分、福岡空港までは21分と優れた交通アクセスを有する。

淳思さん:「物件選びの際、駅近かどうかはあまり気にしませんでしたが、今となってはアクセスの良さも大きなメリットだと実感しています。うちから藤崎駅までは徒歩7分ほどの距離。県外のお客さんからは『(藤崎は)天神・博多から近いね!』『飛行機で帰る前にパッと立ち寄れるのがいい』と言っていただけます。博多駅や福岡空港から地下鉄一本で行き来できますし、他のエリアへのアクセスもスムーズですからね」

地下鉄空港線・藤崎駅は明治通りに面する

それこそ、他県からの転勤族や出張が多いビジネスマン、その他の移住者にとっても、藤崎の立地は魅力的に映るようだ。天神から藤崎まではわずか5kmで、アクセスも良好。地下鉄は交通渋滞の影響を受けないのでバスやタクシーより発着時間が正確で、出勤時間や飛行機・新幹線の搭乗時間に遅れるリスクが少ない。また、地下鉄藤崎駅は藤崎バス乗継ターミナルと連絡し、「福岡タワー・福岡PayPayドーム方面」「天神方面」「博多駅方面」「姪浜方面」など路線が充実している。地下鉄やバスを使ってあらゆるまちへアクセスできるのは、車を所有しない人をはじめ、子連れや高齢の住民にとってもありがたい環境だ。

福岡市早良市民センターの1階にある藤崎バス乗継ターミナル

淳思さん:「駅やバスセンター、スーパーが近くに揃い、さらに病院や区役所といった公的機関も集まり、快適な住宅地だと感じますね。車を所有していなくても不便さを感じませんし、むしろ入り組んだ西新界隈を回るなら車より自転車の方がスムーズに行けることも多々あります」

周辺環境が充実した、健やかで楽しい藤崎ライフ。

藤崎は1丁目と2丁目で構成され、住所だけで見ると意外とコンパクトなまちだ。北は明治通り、西は原通り、南は新開橋に面する縦長の形状。そんな極小エリアの中にも由緒正しい神社が存在し、その一つが藤崎を代表する『猿田彦神社』だ。ここは猿田彦大神を祭神として祀る神社で、毎年初めの庚申の日「初庚申大祭」には厄払いと授与品の猿面を求めて多くの参拝客が訪れる。

年に6〜7回庚申祭が行われる『猿田彦神社』

その名の通り紅葉が美しい『紅葉八幡宮 早良総守護』も藤崎から歩いてすぐの場所にあり、安産・厄除け・子供の守り神として篤い信仰を集めている。また、藤崎や百道に点在する元寇防塁跡もまちの歴史を物語る象徴的スポット。淳思さんもランニング中に元寇防塁跡に立ち寄り、歴史に思いを馳せる時間を楽しんでいるそう。

七五三の参拝客で賑わう『紅葉八幡宮 早良総守護』と、まちに点在する元寇防塁跡

慶さん:「気候がいい時期はももち海浜公園に行くのも、藤崎での暮らしの楽しみ。私たちは図書館のついでに浜辺へ立ち寄ることがあり、海を眺めながらゆったり休日を過ごしています。浜辺がある海って福岡市内では貴重ですよね。自然を感じながら生活できるのは、この辺りに住む人にとって嬉しいポイントだと思います」

淳思さん:「色々なお店・施設・公園が近くに揃っていますし、妻が言うようにちょっと足を延ばせばももち海浜公園でリフレッシュもできます。僕は毎朝ランニングをするので、愛宕神社付近やももち浜、大濠公園など、その日の気分に合わせてルートを変えています」

藤崎を起点に、様々なエリアへ渡れるのがこのまちの魅力と語る淳思さん。さらに藤崎は早良区役所やももちパレス、福岡市ももち体育館、早良警察署、西福岡税務署など、公共施設が集まる百道地区に隣接するので、生活環境にも恵まれている。

淳思さん:「普段から図書館を利用することが多く、百道浜にある『福岡市総合図書館』がお気に入り。ここは福岡市最大規模の図書館で、建物の雰囲気も好きです。週1〜2回通い、料理関連の本を借りています。百道浜付近はまちがきれいで歩道も広く、大きな公園や広場があって気持ちがいいですよね」

慶さん:「区役所から百道浜に向かう道や、サザエさん通り、よかトピア通りはイチョウやカエデの並木がとってもきれい。日中はお店に籠りっぱなしなので、通勤時に近所の並木から季節を感じられると清々しい気持ちになります。また道端で視界の奥に福岡タワーが見えた瞬間、『あぁ、きれいだなぁ』と心がほぐれることも。その時々でイルミネーションのデザインが変わり、桜や天の川、十五夜、ハロウィン、クリスマス…と季節の移ろいを知らせてくれて、帰り道に『あ、またイルミネーションが変わったね』なんて話のタネにもなっています」

藤崎から自転車や徒歩で行ける『福岡市総合図書館』『福岡タワー』

夜空を照らす福岡タワーのイルミネーションも、藤崎の住民にとっては日常の風景。気軽に利用できる公共施設が充実する環境は住み心地の良さにつながり、遠方からわざわざ訪れる観光客が多いももち海浜公園や福岡市博物館にパッと行けるのも藤崎の住民の特権だ。

住む場所は静かでゆったりとした空気感に包まれ、一歩足を延ばせば人情派の商店街、教育機関や公共交通機関、そして生活を豊かにする公共施設が揃い、いきいきとした暮らしを謳歌できる。「これからも藤崎を拠点にやっていきたいですね」と菅原さんご夫妻が語るほど、バランスのいい住環境が広がる藤崎エリア。これから引っ越しを考えている人に、ぜひおすすめしたい。

Recommend Spot in Fujisaki

子供たちの元気な声が飛び交う、藤崎の憩いの公園。

■藤崎南公園
住所:福岡市早良区藤崎1-14-9

たくさんの遊具とグラウンドを有し、午後は下校後の児童たちが大勢集まり、賑やかなムードが漂う公園。遊具の中にはデザイン性の高い滑り台やオブジェ的遊具が並び、公園内はいつも明るい雰囲気。「店の目の前が公園なので、昼間は保育園の小さな子供たちが遊ぶ姿が見られ、夕方になると小学生の子たちの掛け声が聞こえてきて心が和みます」と菅原さん。キャッチボールを楽しむ親子もいて、家族のふれあいの場にもなっている。

I’m Here

捏製作所

住所:福岡市早良区藤崎1-14-5
TEL:092-833-5666
営業時間:11:00~19:30※最終入店17:30(金曜のみ17:00〜21:00※最終入店19:00)
定休日:木曜、不定休あり
※飲酒される方のみのご案内
https://www.instagram.com/tsukune_seisakusho/

その日に仕入れた新鮮な食材で作る自家製のつくねと、純米酒の熱燗を看板にした酒場。つくねの種類は週替わりで5種類展開し、3種盛り合わせと5種盛り合わせで味わえる。日本酒も酒呑みを喜ばせるラインナップで、素材の旨味を引き出した一品料理や小鍋、自家製麺で作る〆の一品も評判。舌の肥えたグルメな大人たちから人気を集め、関西や関東からの遠方客も多い。ふっくら熱々のつくねをじっくり噛み締めながら、熱燗をクイッと一口。旬の味覚を様々な角度から堪能してみて。

〜 エリア紹介:福岡市早良区藤崎 〜

福岡市の都心部・天神から西へ約5km向かった場所にあり、早良区北部に位置する。現行の行政地名は、藤崎1丁目と藤崎2丁目。主に住宅地として土地利用がなされ、近接する西新と比べるとやや落ち着いた雰囲気。地区内には西新まで続く商店街が通り、地下鉄空港線・藤崎駅出入口付近が商店街の西口にあたる。主要道路は明治通りと原通り。交通量が多い大通り沿いには銀行やクリニック、商業施設、進学塾、トレーニングジムなどが建ち並び、子育て世帯を中心にファミリー層が多数住むエリア。近隣には早良区役所や早良警察署もあり、住民の快適で安全な生活を支えている。

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