■Yakichi(ヤキチ)
住所:福岡市南区大橋4-5-6 天本ビル1F
TEL:092-553-2600
定休日:月・火曜
多彩な魅力に溢れる、オールラウンドなコンパクトタウン・大橋。
今回フォーカスするのは、福岡南部の副都心である大橋。このエリアは「福岡の住みたい街ランキング」で常時上位にランクインする人気住宅地であり、文教地区と商業地区の特性を持つ多彩なまちだ。南区の中心市街地である大橋の住み心地を改めて掘り下げるべく、駅から徒歩約10分の人気和菓子店『をかし ひつじや』の店長・Meiさんから、大橋ならではのまちの特色や魅力について教えてもらった。
学生街の顔だけじゃない! 大橋エリアは多国籍&グルメの聖地。
今回インタビューでお邪魔する和菓子&駄菓子店の『をかし ひつじや』は、西鉄大橋駅西口から徒歩約10分の場所にあり、住所は大橋3丁目に位置する。駅から店へ向かう際、樹齢300〜400年のクスノキが鎮座する大橋駅西口広場と、その前を通る「大橋ショッピングモール」を通り抜けていくのだが、この一帯の空気感がなんとも心地良い。
ちなみに、「モール」と言っても商業施設でなくここでは「樹陰のある遊歩道」を意味し、蛇行した車道により自動車の速度を下げさせることで、歩行者と並木道を共存させる特別な都市設計になっている。これらの大橋駅西口広場も大橋ショッピングモールも、まちのシンボルとして40年ほど市民に定着している緑豊かな大橋らしい風景だ。(Vol.1 南区大橋1丁目編参照)
常緑樹・落葉樹がすがすがしく、散策も楽しい「大橋ショッピングモール」
国道385号線(通称:みやけ通り)に出て、さらに西へ進んだ通り沿いに和菓子&駄菓子店『をかし ひつじや』はある。本店は糟屋郡宇美町にあり、宇美八幡宮の中にある和菓子店『季のせ』の新業態として誕生し、2021年3月にオープンするやいなや近隣住民をはじめスイーツ好きから人気を集める存在となった『をかし ひつじや』。そもそもなぜ、本店の宇美町から離れた大橋に出店したのだろう?
「オーナー曰く、『西鉄沿線の特急停車駅の中でも、大橋は住宅に囲まれたエリアで学校も多く、私たちがつくる駄菓子を住民の方々に親しんでもらえそう』。そんな視点で出店エリアを決めたと聞いています」と答えてくれたのは、店長のMeiさん。勤務地として毎日大橋を行き来する中で、Meiさん自身もまちの発見が色々あったとか。
「大橋は昔から学生街と聞いていたので、街中に高校生や大学生がいっぱい歩いているのかと想像していましたが、私の中でそのイメージは変わりました。個人的に食べることが好きだからでしょうか(笑)、学生街というより飲食店が密集するグルメ街の印象を強く感じます。特に大橋駅周辺にはおいしそうな飲食店が軒を連ね、外から見てもワクワクするようなまちなみが広がっています!」
Meiさんがそう語る通り、大橋駅西口から高宮通り、みやけ通りまでを含む一帯は、メイン通りや入り組んだ路地裏に飲食店がぎゅっと密集している。Meiさんも通勤中に飲食店の外観や案内板を見て「うわぁ、おいしそう!今度行かなきゃ」と思いながら楽しく歩いているという。
「あと、まちを眺めながら感じるのは、中国や台湾、ネパールなどアジア系の外国人も多くて、“大橋って多国籍だな”とも思いました。うちのお店にも近所に住む海外のお客様がよく来てくださり、幅広い方々に和菓子や駄菓子に関心を寄せてくれることがとても嬉しいです」
大橋駅界隈には中華料理、韓国料理、ベトナム料理、タイ料理などアジア系の飲食店が軒を連ね、さらに『カレーの激戦区』と呼ばれる地域柄、ネパールやインドのカレー店も多い。各国の現地の人々が働きながら本場の味を提供しているので、自ずとグローバルな住環境になるのだろう。また、大橋エリアには『九州大学芸術工学部・大学院芸術工学府・大学院芸術工学研究院』、『西日本アカデミー航空専門学校』、『国際貢献専門大学校』、『国際エステティック専門学校』などグローバルに展開する教育施設も集合。技術科を専攻する留学生も多いようだ。
「福岡の住みたい街ランキング」上位エリア、大橋の住環境とは?
駅周辺は交通量が多く、“南部の副都心”としての活気を感じるが、駅から一歩足をのばすとのんびりした雰囲気が広がる大橋エリア。それは住民のムードも同様で、Meiさんも接客中に近隣住民の穏やかさを取れると語る。
「常連のお客さまにご近所の方もたくさんいらっしゃるのですが、顔を合わせるたびに声をかけてくださったり、お客様同士がお会計を譲り合うシーンがあったり、ゆとりがあって穏やかな“住民の気質”みたいなものを感じます。あと、小学生のお子さんが小銭を握り締めて『綿菓子くださ〜い』と元気にやってきてくれて、他にも中高生の子たちや、おばあちゃん世代の方も立ち寄ってくださいます。住民の層は、文字通り『老若男女』の印象ですね」
大橋は「筑紫丘校区」と「三宅校区」の2つの校区に分かれ、筑紫丘校区は西鉄大橋駅西側の緩斜面に形成された閑静な住宅地で、幼稚園から大学まで立地する文教地区。もう一方の三宅校区は、国道385号線(みやけ通り)や県道31号(福岡筑紫野線/高宮通り)などの主要道路が通っており、2011年に長浜太宰府線が全面開通。両校区ともに人口と世帯数推移が年々上がり続け、特急列車停車駅の利便性も相まって「福岡の住みたい街ランキング」で常時上位をキープするほど、住宅地としての人気が広がり続けている。
Meiさんが立つ『をかし ひつじや』(大橋3丁目)は三宅校区。近所に三宅小学校と三宅中学校があり、店前のみやけ通りも地域の子供たちの通学路になるそうだ。
店のそばの交差点を越えると住所は「三宅」に
「店頭に立っていると、窓の外から小学生たちが『こんにちは〜!』と大きな声で挨拶してくれるんです。また、日中に親御さんがおやつを買いに来てくださり、自宅でそれを食べたお子さんが翌日『おいしかったよ!』と感想を言いに来てくれることも。そういった日々の小さなふれあいに癒されています。ご年配の方はお茶会用のお菓子を買いに来てくれることが多くて、ゆとりのある暮らしや温和なコミュニティの想像が広がります」
またMeiさんの同僚であり、三宅校区に住んで25年以上というスタッフの方も地域の魅力を教えてくれた。
「子育てを経験して気づいたのですが、このエリアは自治会や子供会が盛んです。他の区では子ども会は自由参加制のところも多いようですが、三宅地区の子ども会は基本的に全員参加制。地域行事や年中行事に親子で参加するので、地域の方々と親睦を育むことができてよかったなぁと感じました」
そんな三宅校区では、自治協議会を中心とした「三宅校区AN2(あんあん)ネット防災組織」も展開され、一致団結した活発な活動が行われている。毎年1月は恒例行事「どんど焼き」が三宅小学校横の若八幡宮境内で行われ、子供たちが各家庭から集めてきたしめ縄や正月飾りを奉納し、その後もちつき大会とどんど焼きを行う。次世代に伝統行事を伝え、子供たちの育成や地域との関わりを向上させたいという思いから、子供たちが率先して行うよう企画されているのが特徴的だ。
「人間関係を育める環境は住みやすさにもつながりますよね。子育て世帯以外の方で、移住後に地域に馴染めるか不安という方も、地域行事に参加することでコミュニティにすんなり溶け込めそう。ご近所さんとの交流を深められるきっかけが身近に転がっているのは、大橋の住民にとって嬉しいポイントですね」とMeiさん。
みやけ公園では毎年夏祭り、各公共施設で秋に校区文化祭、校区敬老会、校区体育祭(隔年実施)も行われている。校区の子育て交流サロンや育児サークル、住民向けのスポーツ・レクリエーション、リサイクルマーケットなど、自治協議会を主軸に地元の人たちが地域に根付いて活動し、校区イベントにも力を入れているようだ。
必要なものがすぐ手に入る、住み心地の良い「コンパクトタウン」
大橋は商業地域と住宅地域がちょうど半々の割合で占められ、西鉄大橋駅を中心にさまざまな店舗や施設がぎゅっと集まっている。駅構内に商業施設『レイリア大橋』が併設し、アパレルショップ、雑貨店、カフェ、スーパー、ドラッグストア、100円均一ショップ、書店を備え、特にグルメに関しては18店舗と大充実。そして駅周辺には飲食店やカラオケなどの商業施設が建ち並び、生活に必要な販売店がひと通り揃っている。また西鉄大橋駅は「ハブ駅」と言われるほど交通の便が良く、西鉄沿線はもちろん、駅前のバスセンターからは天神、博多、南区全域のあらゆるエリアへの行き来が可能だ。
駅の改札を抜けると、目の前に続く商業施設『レイリア大橋』
「お昼の休憩時間に近くのお店でランチを味わうのが、私のささやかな楽しみ。この前も、職場のみなさんと『創作酒場エンバ』で絶品の創作料理をいただきました! 他にもタイ料理店『オシャ』のヌードルメニューや、ネパール・インド料理店『マカル』のカレー、韓国料理店『ハンアリ』の定食も大好き。外食の選択肢がたくさんあって、食のジャンルもさまざま。とにかく食を楽しめることが、大橋における私的魅力No.1のポイントです♪」
Meiさんも行きつけのタイ料理&タイヌードルの『オシャ』
主要道路は、駅東口側の日赤通り、駅西口側の高宮通り、そして三宅・野多目に繋がるみやけ通り。メインストリートは前述の通り賑やかだが、一本入るとマンションや戸建てが中心の閑静な住宅地となる。Meiさんもよく散歩がてら住宅地の小道を通って出勤することもあるようで、「今日はどの道を使おうか」と日によって通勤ルートを変えながら気分転換を楽しんでいるそうだ。
「繁華街と住宅街がうまく融合している点が大橋らしさかも。“コンパクトタウンの魅力”と言いますか、わざわざ他のエリアに行かなくても徒歩圏内に施設やお店が充実している快適性と、ゆっくりとした落ち着いた住み心地の良い雰囲気を持ち合わせているので『住みたい街』に選ばれるのも納得です」
駅の近くはビジネスパーソンや大学生などの一人暮らしのマンションが多く、駅や大通りから一本入ったエリアにファミリー層向けのマンションや戸建て住宅が広がる。
「天神・博多で働く方が通勤に便利な大橋エリアに住んでいらっしゃるケースも多い様子。基本的に人通りが多く、特に住民の方々が行き交う姿もたくさん見られますし、飲食店も個人経営のお店が軒を連ね、息の長い個性的なお店がたくさん。街全体に活気があるので、一人暮らしの場合も心細さを感じることなく楽しく快適に生活できそうですね」
ふと通りに視線を向けると、20〜30代の夫婦がベビーカーを押して歩く姿や仲良く歩く小学生を次々に見かけ、ヤングファミリー層に人気であることを感じ取れる光景が。手が届く距離に暮らしに必要なものがすべて揃い、交通の利便性も高く、学生や主婦、ビジネスパーソン、自営業、シニア層など、いろんな人々にとって程よく住みやすいまち。そんな大橋に一度住むと、居心地が良くてずっと住み続けていたくなるのだろうなと、まちの魅力を改めて実感できた。