極小エリアマガジン
東区千早4丁目
#30
Interview
「“発展を遂げるまち”で、地域と成長を楽しむ千早の暮らし。」
『正屋(まさや) 千早店』 オーナー・岩崎正史さん

“発展を遂げるまち”で、地域と成長を楽しむ千早の暮らし。

千早駅を中心に大規模な再開発が行われ、新築の高層マンションが建ち並ぶ千早エリア。JR沿線で隣り合う箱崎や香椎とは空気感が異なり、凛とした近代的な雰囲気が漂う。ここでの暮らしは、どんな魅力が広がっているのだろう。東区の副都心として、今後の発展にも期待が集まる千早エリアのまちづくりや住み心地について、自転車ショップ『正屋 千早店』のオーナー・岩崎正史さんに話を聞いてみたいと思う。

10年前は何もなかった駅周辺が、ガラリと生まれ変わった…!

千早駅から徒歩5分の場所に店を構える『正屋 千早店』は、タワーマンションとNTTドコモビルなど高層ビル群の一角にあるサイクルショップ。アメリカの総合自転車メーカー〈トレック〉のロードバイクやマウンテンバイクなどがずらりと並び、そのかっこいい佇まいは千早の近代的なまちなみによく似合う。本店は塩原にあり(Vol.28 塩原 1丁目編参照)、2013年に千早店がオープン。まずはオーナーの岩崎正史さんから、千早エリアへの出店の経緯を聞いてみよう。

「自転車を乗る際、自宅が起点であるケースがほとんどだと思います。私たちは自転車を販売しているので、みなさんの居住地に寄り添うために、福岡市の副都心である南と東の両エリアに拠点を設けました。千早に出店を決めたのは約9年前に遡りますが、この地域は東区、もっと言えば福岡市の中でも“これからのまち”として将来性を感じたことがエリア選びの決め手でした」

「…と言いながらも、うちが出店を決めた当時の2013年頃は、NTTドコモ九州香椎ビルと周りにもう1〜2軒しか建物が建っていなくて、あとは更地でガランとしていました(笑)。再開発が本格稼働する前だったんです。ビルのオーナーさんから『千早はこれからどんどん発展するよ』と聞き、どんなまちになるのかなぁと思いながら、『私たちも地域と一緒に成長していこう!』と心に決めました。今ではたくさんのビルが建ち並び、10年前からは想像できないほど発展して、景色も様変わりしましたね」

千早駅周辺はもともと旧国鉄の『香椎操車場』だった場所。その操車場跡地を再開発する「香椎副都心土地区画整理事業」の着工が2000年頃から始まった。2003年にJR千早駅が開業し、翌年に西鉄千早駅も開業。千早駅周辺の区画整理が進行し、操車場跡地にはNTTドコモ九州香椎ビルを筆頭に高層マンションが続々と建ち、「香椎副都心公共施設(通称:なみきスクエア)」というシンボリックな施設も登場した。現在も千早駅周辺では整備事業が行われている。

(写真左)「香椎操車場」の広大な土地を住宅地として再開発されたことがわかる(千早中央公園の資料より)

(写真右)JR千早駅と西鉄千早駅の駅舎は同じ敷地内にあり、Wアクセスが可能!

「東区にも千早にも住んだことがなかったので土地勘がないところからスタートしたのですが、出店後に周りに続々と建物が建ち、人が集い始め、みるみる発展していき、人口が急速に増えていく様を間近で感じました。そんな中でも、駅近くの高層ビル群から一歩足を延ばすと昔からある戸建ての住宅地が広がり、“地元の雰囲気”を感じ取ることができます。犬の散歩中のおじいちゃんも毎朝見かけますし、うちの店の前でいろんな人が通りすがりに挨拶をしてくれるので、そういった心温かいコミュニケーションにほっこりしますね」

地域を盛り上げたいという想いとアクションが、まちに新しい色を添える。

『正屋 千早店』には開店当初からの常連客をはじめ、親子で店に訪れるケースも多いという。「千早店もまちと一緒に成長していこう」と心に決めた岩崎さんの言葉通り、地域の人々との絆もしっかりと築かれているようだ。開店から約9年間の中で、お店に来てくれていた子が大学を卒業したり、就職したり、子どもが生まれたり…。岩崎さんやお店のスタッフは、千早エリアに住む人々の暮らしを見守り続けているような感覚だとか。

「この辺りはファミリー層が多く、幼かったお子さんが巣立つシーンなど、ライフステージをのぼるシーンもよく目にします。月日の経過を感じますし、僕らもみなさんと一緒に成長していけているのだなぁと実感しますね」

正屋の軒先には歩道と同じくらいの余白のスペースが確保されている。オープン当初はその軒先を使って、知り合いのショップに出店してもらいながらマルシェを開催していたという。回を重ねるごとに地域のコミュニティメンバーの人たちも運営に加わり、マルシェは数年間にわたり続いた人気イベントだったとか。

「数年前に福岡市共働事業提案の「地域デザインの学校 in 千早」というスクールが開かれ、そのセミナーの講師として一度登壇したんです。“このまちをどうやって盛り上げるか”をテーマにディスカッションする中で、地域のコミュニティ冊子を作ろうという話が立ち上がり、実際にフリーペーパーが継続的に発行されました。地元の学生さんや“おやじの会”のメンバーなど同スクールの卒業生が意慾的な方々だったので、当時うちの軒先でやっていたマルシェの運営を彼らに継承することに。途中で運営メンバーが進学や転勤で千早を離れることになり、継続が難しくなったのですが、コロナ禍が落ち着いたらあのような地域イベントが復活するといいですね…!」

以前正屋の軒先で開催していた「ナチュラルマーケット」は多くの人で賑わった

ちなみに、千早に腰を据えて気づいたのは、アイランドシティの存在の大きさだったと岩崎さんは語る。千早駅界隈と同じく、アイランドシティも開発事業が進み、住宅はもちろん、医療機関や総合体育館などの公共施設、2020年は商業施設「island eye(アイランド アイ)」、2021年は都市高速道路のアイランドシティ線が開通した。今後もさまざまな開発事業が進み、最先端の仕組みが次々に導入されるであろう注目のエリアだ。

「それこそ、ちょっと前までは『アイランド アイ』の場所はだだっ広い空き地で、まさかあんなに大規模な商業施設ができるとは夢にも思いませんでした!」と岩崎さん。

千早エリアの住民もその恩恵を受けていて、アイランドシティまでは車や自転車でサクッと行ける距離なので、週末の遊び場として人気を集めている。隣接するまちが発展すれば、相乗効果で自分が住むまちも活気が湧き、土地の価値も上昇する。住む人にとっては快適で楽しく、マンションのオーナーにとっても経営面でうれしい環境だ。

周辺の再開発が進み、千早エリアは人気も地価も右肩上がりを見せている

「天神や西新、香椎のような商業エリアとは用途が異なるとは思いますが、欲を言えば、千早駅周辺にもお酒が楽しめる飲食店やユニークなショップなどが増えたらいいなぁと感じます。もちろん今もそういったお店はありますが、『千早駅周辺で一杯ひっかけよう』『お茶して帰ろう』といった流れをつくるお店が増えると、まちとしてもっと面白みが高まるはず」

(写真左)まちに滞在する楽しさを提供するために、正屋の店内にはレストラン『ワイン食堂 ビオワルン』を併設

(写真右)正屋から徒歩4分の場所にある、人気コーヒーショップ『Basking Coffee』もおすすめ

家族や地域とのコミュニティが築かれる、“コミュニティのハブ”の存在。

千早エリアは広範囲で、高層ビルが密集する駅周辺の近代的なまちなみと、一軒家や団地が集まるアットホームなまちなみが混在する。前者のエリアは国道3号線から東側の千早4丁目・5丁目で、後者は国道3号線から西側の千早1〜3丁目と6丁目に位置する。昨年、千早3丁目に複合型商業施設『GARDENS CHIHAYA(ガーデンズ千早)』がグランドオープンし、多くの注目を集めた。

新しい複合型商業施設『ガーデンズ千早』。3号線沿いの敷地も第二期工事が進行中だ

ここは千早・香椎エリアで長年親しまれたレジャー施設『スポーツガーデン香椎(通称:スポガ)』跡地に登場した新しいランドマークで、九州最大級の規模を誇る『無印良品』が出店し、24時間営業のスーパーマーケット『サニー』、大充実のスポーツクラブ『エスタ クオリア』、その他カフェや惣菜店、八百屋、精肉店など20店舗が入居。“食と健康のグッドサイクル”をコンセプトに、館内ではマルシェやワークショップのイベントなども開催されている。

ガーデンズ千早の1・2Fにある『無印良品』は九州最大級!

「ガーデンズ千早は現在第二期工事が行われていて、春に4,000㎡ほどの巨大な庭園が登場するみたいですよ。そこにオープンデッキやカフェレストラン、フラワーショップなどがオープン予定だとか。老舗レジャー施設が惜しまれながら幕を閉じましたが、再び同じ場所に地域の人々が集まり、和気あいあいとした時間を過ごせるようでよかったです」

ところで、千早エリアでは子育て世帯の増加に伴い、子どもの健やかな育成や多世帯の交流を目標に掲げ、地域コミュニティが活発化するようまちづくりに力が注がれている。2016年に千早駅前にオープンした『なみきスクエア』もその代表例。コンサートや舞台が行われるホールや、料理や茶道などの教室が開かれる実習室、事前予約なしで誰でも自由に使える自習室、そして託児室なども完備し、ここに行けば地域の人との出会いや暮らしを楽しむヒントを得られそうだ。

2018年度にグッドデザイン賞を受賞した『なみきスクエア』

新しいモノやコトが生まれ、新しい人が次々に集まり、それらがまちを形成していく。「隣接する箱崎エリアや香椎エリアは昔からの文化やまちなみが残る人情的な雰囲気。その間に位置する千早エリアは、生まれ変わって成長を遂げている変化に富んだまち。この対照的な関係性も面白いですし、これからまちがどう成熟するかも楽しみです」と岩崎さん。

今日も『正屋 千早店』にはサイクリストが集まり、友達の輪が広がる素敵なシーンが織りなされている。そういった光景を見ると、千早エリアにはアクティブな人々が集まり、コミュニティに参加できる環境が点在していることを実感する。千早エリアを拠点に、新たな繋がりが生まれ、絆が築かれ、まちと一緒に成長することで、ここでの暮らしはもっともっと楽しくなっていきそうだ。

Recommend Spot in Chihaya

おしゃれな千早にぴったりの芸術・文化発信地「なみきスクエア」。

■なみきスクエア
住所:福岡市東区千早4-21-45
休館日:最終月曜日(休日の時は翌平日)、年末年始
営業時間:東市民センター 9:00〜21:00、千早音楽・演劇練習場 9:00〜22:30、東図書館 9:00〜20:00、証明サービスコーナー 9:00〜20:00

福岡市東区の芸術・文化の発信拠点となる建物で、東市民センター、東図書館、千早音楽・演劇練習場、証明サービスコーナーの機能を持つ複合施設。「建築としてもカッコよくて好きな場所です。コロナ禍前は演劇やコンサートも頻繁に行われて、いいプログラムが多かったですよ」と岩崎さん。駅前で立地にも優れ、ベーカリーカフェ『オルトズ ベーカリー カッセス』もあるので、ゆったり寛ぎながら過ごすことができる。

I’m Here
正屋(まさや) 千早店

住所:福岡市東区千早4-15-12 THE LINDOS1F
TEL:092-410-1009
営業時間:12:00~20:00(土日祝は9:00~16:00)
定休日:月・火曜(月曜が祝日の場合は営業)

福岡市唯一のトレックコンセプトストア。質の高いサービスと技術が自慢で、快適で楽しいサイクルライフをサポート。毎週日曜の午前中に、2時間ほど千早から郊外へサイクリングを楽しむ定期イベントも開催し、共通の趣味(自転車)を介してコミュニティや友達の輪が育まれる、とっておきの場所となっている。また、店内に『ワイン食堂ビオワルン』を併設し、美味しいワインとイタリアンを気軽に楽しめるのも魅力。サイクリストだけでなく、ご近所さんにも愛される新しいスタイルの自転車店だ。

〜 エリア紹介:福岡市東区千早 〜

東区の副都心として注目を集めるベッドタウン。北に香椎、南に名島や箱崎が隣接し、福岡都市高速道路とJR九州鹿児島本線の間に広がる。広義の香椎地域に含まれることが多かったが、再開発が進み、高層マンションや商業施設の立地も増加してきたことから「千早」の認知度が著しく向上。JRと西鉄のWアクセスが可能で、築浅の集合住宅が多いことから転勤族やニューファミリー層に人気を集める。駅周辺にはスーパーマーケットやドラッグストアが複数点在し、3号線沿いには飲食チェーン店や大型電気店、コンビニなどが充実する。

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