豚ステーキ専門店 かっちゃん
住所:福岡市西区姪の浜4-11-21 大島ビル2F
Tel:092-882-5507
営業時間:11:00〜14:30/17:00~21:00
※品切れ次第終了
定休日:水曜
温かみに触れるまち、“姪の浜”の住みやすさを探る。
福岡市営地下鉄・JR筑肥線の起点となる「姪浜駅」を中心に、ベッドタウンとして人気を誇る姪浜エリア。同エリアは寺社仏閣や旧唐津街道などの歴史的な街並みが残る北エリアと、商業店舗の開発が進み発展を遂げる南エリアに二分されるが、今回は北エリアの「姪の浜」にフォーカスを当ててみたい。見た目だけではわからないまちの潜在的魅力を、姪の浜2丁目に店を構える『novel cafe Lily(ノベルカフェ リリー)』のオーナー・リリーさんに伺ってみよう。
住んでいる人の顔が見える、アットホームな姪浜駅北側のエリア。
姪浜駅から北東方面に向かって歩くこと約10分。旧国道202号線(明治通り)から小道へと枝分かれする入り口部分に、リリーさんが切り盛りするカフェ『novel cafe Lily』はある。通り沿いに白い外観が映えて、近隣住民と思われる人がひとり、またひとりとお店へと入る姿が見られる。窓際のソファ席は大通りの景色を眺められる特等席。行き交う車や人々を定点観測しながら一休みできる絶好のロケーションだ。
リリーさんは早良区出身とあってもともと姪浜エリアに馴染みがあり、好きなまちだったという。天神エリアなどの飲食店で経験を積み、2013年に独立。ひとりで店を切り盛りするにあたり、適度な規模とまちの雰囲気を重視して、のんびりしたムードが漂う姪浜駅北側のエリア「姪の浜」を選んだ。
姪浜駅から南(西区内浜・姪浜駅南)は大型店や公共施設などが集まり、人の流れが賑やか。
姪浜駅から北(西区姪の浜)は個人が営むお店や住宅が多く、比較的ゆっくりとした空気感。
物件を決めるまでは「なんとなくいいな」「なんとなく自分に合っていそう」と、まちに対して"なんとなく”のイメージだったというが、いざ入居し、開業準備を始めながら地域のことを知るにつれ、姪の浜の魅力が明確になってきたと語る。
「カフェのオープンに向けて準備をしていたら、まちおこし団体の代表の方がご挨拶に来てくださったんです。『姪の浜にお店を開いてくれてありがとう!』と喜んでもらえて、歓迎してくださったことがうれしかったですね。また、この場所が旧唐津街道の入り口にあたることを教わり、歴史的な場所であることを知りました」
姪の浜2・3・6丁目に、江戸時代に整備された「旧唐津街道」(赤線部分)が通っている。
そして近所を散歩しながら、心温める光景をたびたび目撃したそう。店からすぐの場所にある「かめさん公園」(姪浜明治通公園)で遊ぶ子供たちと親の姿だ。「今もそうですが、とっても和やかでいい雰囲気の公園なんです。入居したてでいろいろ手探りの頃、かめさん公園で楽しそうに遊ぶ親子や子供達に癒されましたね」とリリーさん。
「目の前に広がる旧国道202号線は車の交通量が多いけれど、それだけでなく、子供から大人まで歩いている人の姿も多くて、“生活の気配”がしっかり息づいています。周りは一軒家やマンション、アットホームなお店ばかりで、全体的にゆったりしたムード。ベビーカーを押してお散歩するママさんやジョギングする人、おじいちゃんおばあちゃん世代の方が仲良く歩いているのを見て、住みやすいまちなんだろうなぁと感じます。カフェを開いたばかりの頃のブログにも、そう書いていました(笑)」
神社の催しや町のイベント、住民から伝わる“姪の浜愛”。
旧唐津街道沿いは一時空き家が目立つ時期があったそうだが、『novel cafe Lily』のオープン後、新しい店が少しずつ増えていった。「たまたまのタイミングだと思いますが、旧唐津街道沿いに点々と新店が増え始めて賑やかになってきましたね」とリリーさんもにっこり。昨年はベーカリーショップ&バルの『YOFUKASHI BAKERY&IKKON(ヨフカシ ベーカリー&イッコン)』や、美容室『abuela(アブエラ)』などがオープン。飲食店以外にも文房具店やアパレルショップもあり、それぞれゆったりマイペースに営まれている。
旧唐津街道沿いは個人経営のお店が多く、のんびりとした雰囲気。
ちなみに、リリーさんの散歩コースからいくつかお気に入りの場所を教えてもらった。「ここから10分ほど北へ歩くと『姪浜漁港』が見えてくるのですが、港町らしい景色が好きです。“○○丸”と船名が書かれた漁船がたくさん並んでいて、毎週日曜に朝市が開かれていますよ。姪の浜3丁目には『居酒屋 みわちゃん』というお店があり、新鮮な魚介料理が味わえると人気です。近くの湾で獲れた鮮魚を気軽に味わえる環境は、このエリアに住む人の特権ですね!」
姪浜漁港では毎週日曜朝5:30から朝一が開かれ、とれたての魚介類を販売している。
また、旧唐津街道付近には寺社仏閣が多いことにも気づいたという。なんと姪の浜だけで15もの寺社仏閣が点在し、民家や店と寄り添うように静かに佇んでいる。中でも『姪浜住吉神社』は地元の氏神様として親しまれ、1月3日には一年の無病息災を祈る玉競祭(たませせりさい)、2月には節分祭、6月には夏の安全を祈願する祇園河童祭(ぎおんかっぱまつり)、夏祭りや秋祭りなど、一年を通してさまざまな催しが行われている。以前は姪の浜のお店をメインにしたマルシェも毎年行われていたとか。
このように神社の催しやまちぐるみのイベントが多数行われ、“姪の浜をみんなで盛り上げよう!”という熱い思いを持った人々が集まっている。リリーさん曰く、まちおこし団体『あこめっこ』もまちを支える要的存在。団体の拠点となる『M’sコミュニティ』は地域の交流の場として一般開放され、異業種交流会や英会話教室、おしゃべりサロンが開かれているそうだ。さらにインスタグラムやwebサイトでも情報発信が盛んに行われている。
「姪の浜には、“一緒にまちを楽しくしよう!”と地域のことを第一に考える方が大勢いて、みなさんの活動や言葉から“姪の浜愛”の強さを感じます。うちの常連客の方も住みやすい地域だと口を揃えて言っています。そんな温かいまちに身を置き、自分も盛り上げる側の一員に立たせてもらえていることを改めてうれしく思いますね」
人と深い関わりができる、下町のような温かいまち。
姪の浜にある飲食店や物販店、美容室のほとんどが個人経営の店とあって、オーナーのキャラクターが立っていたり、人情味に溢れていたり、店と住民とのコミュニケーションが円滑に交わされている。オーナー同士も地域のイベントや食事会を通して温厚な関係性が築かれ、ご近所同士互いに支え合い、尊重し合う間柄だとか。
「姪の浜には、クオリティーが高い実力派のお店が集まっているのも自慢です。6丁目の『オオカミの口』さんは、スコーンがおいしくてわざわざ遠方から来るお客さんも多い人気店。同じく6丁目の『Midori(ミドリ)食堂』さんは、ボリューム満点のヘルシーな食事を提供していておすすめです。3丁目の『ハマのフレンチ』のオーナーシェフ・池田さんは、福岡のフレンチレストランの名店出身で、一皿一皿が格別な味わい。他のお店もキラリと光る個性があって、ファンが多いお店ばかりですよ!」
各店のオーナーが自分の手が届く範囲、そして顔が見える距離感を大切にし、近隣住民をはじめとするお客一人ひとりを温かく迎えている。住民としてもまちを支える店や人々と深い関わりができる環境だから、下町のように心がホッと落ち着き、安心して暮らせるのだろう。
「時間がゆっくり流れてホッと寛げるまちですね。個人的には、室見川を渡って姪の浜に入った瞬間、まちの雰囲気や人の流れが緩やかなリズムに切り替わるように感じます。肩の力を抜いて過ごせるから、オン・オフの一区切りをつけやすく、プライベートを大切にできて、暮らしを丁寧に楽しめるのではないでしょうか。本当に住みやすいと思います!」
住民とお店が寄り添い、まちおこしのメンバーが地域を支え、“住みやすくて楽しいまち”を具現化している姪の浜。リリーさんが語った「住民のみなさんとともに人生を歩んでいるような気持ちになります」という言葉がとても印象的に胸に響いた。