極小エリアマガジン
早良区室住団地
#39
Interview
「室見川のほとりで楽しむ、のんびりとした早良区暮らし」
『J’aime confortable(ジェム コンフォテーブル)』 オーナー・蓑原千津さん、武富徹さん

室見川のほとりで楽しむ、のんびりとした早良区暮らし

今回注目するのは、福岡市早良区にある巨大な集合住宅地・室住団地。早良区のショッピングストリートの一つ、原通りから一歩入った場所にあり、周りには商業施設やスーパーマーケット、そして個性豊かな個人商店も点在する。いわゆる住宅地として知られるこのまちの住み心地を深掘りするために、雑貨ショップ『J’aime confortable』のオーナーにインタビュー。ビジネスパートナーのお二人から地域の魅力について話を聞いてみた。

人気雑貨ショップの移転先は、なんと集合住宅地の一角。

雑貨ショップ『J’aime confortable(ジェム コンフォテーブル)』のオーナー・蓑原さんが店を立ち上げたのは2004年のこと。オープン当初は福岡市中央区警固に店を構え、その後2010年に同区の草香江へ移転。「もう少しゆっくりしたペースでお店をやろう」と、自宅一角を店舗に改装する予定で2016年から一旦休業に入った。それから4年ほど充電期間を経て、2020年に再び路面店として復活。新天地は自宅かと思いきや、なんと福岡市早良区室住団地にある小さな商店街で、その意外な立地に周囲は驚いたという。一体どんなきっかけで、再オープンの地をここに選んだのだろう?

『J’aime confortable』 は室住団地商店街の一角にある

蓑原さん:「休業中に音楽の楽しさに触れる機会があり、実はバンド活動を行っていたんです。公演先はデイサービスや障害者支援施設、室住団地の公民館など、この地域界隈。私は雑貨ショップを営む前に音楽関連の会社に勤めていたこともあり、当時の元上司からお誘いいただいて2016年から音楽バンドに加入しました。その元上司というのが、武富さんです」

バンド仲間であり、今はビジネスパートナーである武富さん(写真左)と蓑原さん(写真右)

武富さんからの声掛けで歌手活動を始めた蓑原さんは、地域の社会福祉協議会や自治協議会が主催するイベント・祭りにて、たびたびライブパフォーマンスを行っていたという。
ちなみに武富さんは、ここ室住団地に40年以上暮らしている住民でもある。室住団地とその隣町・有田の2地域からなる「有住校区」には自治協議会があり、武富さんは2区の町内会長の顔を持ち、さらに人権尊重推進協議会の会長、有住校区の自治協議会の広報も兼任。地域活動や交流の取り組み、それらの情報発信を積極的に行う地域のキーマン的存在なのだ。

蓑原さん:「バンド活動の他、地域のバトミントンサークルにも参加したりしながら、顔見知りのご近所の方も増えていきました。こうして室住団地にちょこちょこ行き来していたら、ある時『室住団地商店街に空き物件があるからお店を出さないか』という話が舞い込んできて…。自分としては、もう雑貨ショップを再開するつもりはなかったのですが、すっかりこの界隈に馴染んできたこともあり、『楽しそうだしやってみようかな!』と出店を決意しました」

久々の店舗復活を機に、このまちをよく知る武富さんが共同経営者として運営にジョイン。もともと雑貨好きの間で人気を集めていた『J’aime confortable』とあって、復活を待ちわびていたお客さんも多い。

再オープンのタイミングで50歳の節目を迎えた蓑原さん。以前と比べて仕事との向き合い方が変わったとも語る。

蓑原さん:「自分の中に“余力”を残しながらマイペースに、やりたいこと、気持ちが向くものを行いたい。そんな思いが強くなりましたね。自分自身が等身大でいられるように、気持ち・体力・時間、それぞれにゆとりを持ちながら、今の暮らしを長く続けていきたいです」

自宅は別エリアに構えるが、通勤で行き来する室住団地のゆったりした空気感が今の気分にフィットし、「ここにいると自宅と同じようにリラックスした気持ちでいられる」と笑う。

復活の噂を聞きつけて遠方から訪れたお客さんの中には、「こんな場所にこんな大きな団地があったなんて!」と驚く人や、「余生はこの辺りで暮らすのもいいですね」と街の雰囲気を気に入る人、さらには「ジェムさんがここにお店を出したから私も近所に引っ越してきました」という人も! 地域外から訪れる人にとっては、エリア開拓といった感覚で面白い発見に繋がっているようだ。

福岡市内最大級のマンモス団地と、その界隈のまち事情。

40年以上この地に住み、複数の自治会にも携わる武富さんの話によると、室住団地には約2500世帯が入居するという。

武富さん:「かつては室住団地商店街内には肉屋や魚屋があり、人通りも今以上に賑やかでした。時代とともに住人の年齢層も上がってきていますが、街並みは昔とさほど変わらず、おだやかな雰囲気。団地内に桜の木が植えられていて、春の景色も美しいですよ。あと、公園も多くて子供たちが不自由なく遊べる環境だと思います」

春に咲き誇る団地内の桜の木

団地入口に隣接するバスロータリー

蓑原さん:「団地内に銀行や歯科医院、商店街、幼稚園も揃っているからすごいですよね。周辺にも個人経営の商店が多数建ち並んでいるのですが、その中によく行く飲食店があり、お酒を交わしながら地域住民の常連さんと仲良くなったりして。そういったシチュエーションからも、この地域には気さくな方が多いことを実感します」

室住団地の目の前にはスーパーや飲食店、郵便局などが軒を連ねる一本道があり、古くから営んでいる飲食店の中には予約しないと入れない人気店も!

蓑原さん:「焼きとり屋や居酒屋、焼肉屋、鮨屋があり、この界隈の住民が集う“飲み屋ストリート”みたいな感じなんです。特に『えぐっちゃん』は常時人気の海鮮居酒屋で、刺身や魚料理が安くておいしいと評判です。地域の方々にはそれぞれ“行きつけのお店”がいくつかあり、『この前はあそこのお店に行ったから今日はこっちのお店に』とまんべんなく訪れている様子。お客さんも人情味がありますよね(笑)」

武富さん:「個人的によく行く『ぎょうざの店』という飲食店は、Google マップに載ってなくて地元の人しか知らない穴場です」

個人商店が連なり、ゆったりとした雰囲気の室住団地界隈だが、「原通り」まで出ると交通量が一気に増えてまちの景色がガラリと変わる。「原通り」には大型ショップや全国展開のチェーンレストランが建ち並び、道路も広くて都会的なロケーション。この辺りのショッピングモールと言えば、『ダイエー原店』に始まり『原サティ』、『イオン原ショッピングセンター』と姿形を変え、2020年にリニューアルを果たした(2代目)『イオン原店』だろう。

また原四角の交差点近くには2022年に『サンリブBUONO(ブオノ)原』がオープン。大型食品スーパー・サンリブグループの新業態で、食や地産地消の取組みを重点的に打ち出す食特化型スーパーとして話題を集めている。

武富さん:「室住団地前にも『マックスバリュー』や『マルキョウ』があります。私はちょっと姪浜まで足を延ばし、ショッピングモールの『ウエストコート姪浜』に行くことも多いです。そこに大型スーパーやディスカウントストア、100円ショップ、カフェなどが集まっているので何かと便利。アウトレットモール『マリノアシティ福岡』も案外近く、周りに商業施設が充実しているので、わざわざ天神に行かなくても事足りることがほとんど。各施設とも駐車場が完備されていますし、本当に快適ですよ」

蓑原さん:「『木の葉モール橋本』も結構近い! どの商業施設に行くにも車で5〜10分圏内なので、用途に合わせて使い分けられるのがいいですね。室住団地は敷地が広いので、住む棟の位置によって普段使いするスーパーや商業施設が変わるらしいです」

室住団地の近くにはスーパーが充実!

室見川や地域行事から感じられる、暮らしの楽しみ。

蓑原さんはこのエリアを拠点にして6年を迎える。毎日自宅と店を行き来する中で発見がいくつかあるようで、その一つが室見川沿いでのレクリエーションだという。

蓑原さん:「近くに『室見川湖畔公園』があり、春になると花見をしたり、週末はバーベキューをしたりと、楽しそうに過ごす人々を見かけます。わざわざ遠くに行かなくても、バーベキューができる公園が近所にあるのは魅力的ですよね。また川遊びをするファミリーやジョギングする方もよく目にし、そういった光景を眺めて私自身も癒やされています」

『室見川湖畔公園』には野外ベンチや水場が完備(※コロナ禍の影響で現在は使用停止中)

室見川沿いの長閑な様子

つい先日、団地内で「秋の収穫祭」と「ありずみハロウィーン祭り&ミュージックフェスティバル」(通称:有住校区秋祭り)が行われたばかり。2日間にわたり開催された同イベントでは、広場で新米や野菜が販売されたり、室住団地グラウンドでハロウィーンイベントや小学生によるソーラン節が披露されたり、集会前広場(給水塔前)では武富さんと蓑原さんが活躍する音楽バンドのライブパフォーマンスも行われた。

武富さん:「これから12月に入るとクリスマスのイルミネーションが灯って賑やかになりますよ。年間行事のほか、校区内で協議会や体育振興会などの各団体が発足されているので、それぞれの主催イベントも頻繁に行われています。スポーツ関連だとバレーボール大会、壮年ソフトボール大会、ファミリーバトミントン大会など、区の予選大会もたくさん!」

毎年広場に灯されるクリスマスのイルミネーション

協議会の活動を通し、地域を盛り上げようと積極的に取り組む武富さん。こういった頼もしい人々がまちに根ざしていることで、室住団地をはじめ周辺エリアの暮らしがより楽しく、充実したものになるのだろう。前述の通り、スーパーや個人商店が周辺にたくさん点在するので、暮らしの快適性も安定している。

武富さん:「二世帯のご家族が団地内の別棟に住んでいるケースもあり、居住年数が長い方も多く住んでいらっしゃいます。この界隈で生まれ育ったお子さんが巣立ち、後々Uターンで戻ってくることも珍しくないようですね。そういった話を聞くと、この辺りの住み心地の良さを感じます」

居住年数が長い住民が多いということは、地域に顔馴染みの人がいるという安心感にも繋がるのでは。ゆったりした空気感が心地良く、公共施設や商業施設も周辺に整っていることから、“最後の住処”として選ぶ方も多いようだ。ちなみに、すぐ隣の有田エリアは一軒家が集中し、新築物件も続々と増えている。室住団地の北側である小田部エリアや、東北側の原エリアにはファミリー向けのマンションが多数建ち並び、新居探しの注目エリアの一つ。

「これまで警固や草香江でお店をやってきましたが、今が一番のんびりしていて自然体でふるまえている気がします」と蓑原さん。住宅がギュッと身を寄せ合うように集まっている環境とあって、都会よりも人と人の距離感が近く、“地元”と呼べるような温かなネットワークが息づいている。ゆったりとした長閑さもありつつ、すぐ先の大通りまで行くと賑やかなショッピング街道へと繋がるので、そのスムーズな回遊性も暮らしやすさの大きなポイント。室住団地やその界隈の大らかなムードに惹かれるように、住処として選ぶ人々が今後ますます増えそうだ。

【Recommend Spot in Murozumi-danchi】

家族連れやランナーたちが集う、自然豊かな憩いのスポット

■室見川の河畔
住所:福岡市早良区室住団地横

時間帯や日によって景色が変わる自然豊かな室見川の河畔。川魚や鳥など生き物と出会うことができ、川遊びを楽しむ家族や釣りにいそしむ人、野鳥のシャッターチャンスを狙うカメラマンなどが集まる。川沿いはランニングコースや休憩用のベンチも設置されているので、思い思いの時間を気持ち良く過ごせる環境だ。春は河川敷に桜が咲き誇り、より一層絶好の散歩コースに。

【I’m Here】
J’aime confortable(ジェム コンフォテーブル)

住所:福岡市早良区室住団地3-5 室住団地商店街内
TEL:092-516-6880
営業時間:11:00~17:00(変動あり)
定休日:不定休(ブログを要確認)
Instagram:@zakka_jaime
https://jaimec.exblog.jp

古いものや使うほどに味わいが出る素材のものをセレクトする雑貨ショップ。風合い豊かな編みカゴやレトロなテーブルランプ、革小物、ホーローのテーブルウェア、リネン類の他、作家によるクラフトアイテムも並び、暮らしを彩るアイテムが充実している。月に1度、人気ベーカリー『空のパン』の販売日を設けており、それを目当てに訪れる人も多数。営業時間や営業日に変動があるため、来店時はブログやInstagramで事前に確認を。

〜 エリア紹介:福岡市早良区室住団地 〜

福岡市早良区のやや北部に位置する「室住団地」は、現行の行政地名であり、住宅団地の名称でもある。約22ヘクタールの町域内は主に都市再生機構(UR)の住宅地として土地利用がなされ、2022年1月末時点の人口は約3,800人にのぼる。団地入口に博多・天神行き、藤崎・西新行きの西鉄バスのロータリーがあり、最寄り駅は福岡市地下鉄七隈線の橋本駅と次郎丸駅。団地内に銀行、歯科医院、公民館、幼稚園、商店街、近隣には複数のスーパーマーケット、郵便局、さらに『イオン原』『木の葉モール橋本』といった主要な商業施設もあり、利便性が高い。

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