〇〇〇ができるまで
賃貸マンション編
#1

土地と賃貸経営の関係性

賃貸マンションのアレコレをわかりやすく紹介します。
第一回目は、建物に欠かせない「土地」のお話です。

こんにちは、Good life magazineです。

これから待望の新コンテンツが始まります! 建設業界に関わるモノゴトについて「〇〇〇ができるまで」と題し、さまざまなことのはじまりから完成までをご紹介します。

シリーズ第一回目は、多くの方が住んでいる「賃貸マンション」がテーマ! あの賃貸マンションがそこに建つ“真の理由”があるとしたら…? 賃貸マンション建築&経営の大事なステップ、チェックポイント、業界の豆知識を交えて紹介していきたいと思います。

【登場人物】

■相談者:建主・Aさん
所有する土地を活用し、目指すは不動産経営! これから賃貸マンションのオーナーになるために、情報収集に勤しんでいるところ。
オーナー経験は初めてなので、マスターから色々と学ぶ予定。
■解説者:賃貸マンションマスター

賃貸マンションについて、ありとあらゆることを熟知するマスター。建築業界人も一目置く存在だとか!? ここでは専門家として、建主・Aさんに賃貸マンション建築の流れや、為になる豆知識を伝授。

賃貸マンションを経営したい! その第一歩は、「土地」の相談から。

賃貸マンションマスター
建主の方が「賃貸マンション」を建てる理由は、さまざまあります。主に土地活用、 節税対策、不動産投資の収入アップなどが例にあげられ、他にも、老朽化がすすんだ古いマンションの建て替えもありますね。
また土地の状態についてもケースバイケース。農地であったり駐車場であったり、大きな一軒家が建っていたり。
ちなみに、Aさんはすでに土地を所有しているそうですね。

建主・Aさん
はい!今は更地なので不動産投資に挑戦し、その中でも賃貸マンションの経営者になりたいと考えています。まだまだ漠然とした構想ですが…。

賃貸マンションマスター
賃貸マンションを経営するなら、収益性が重要です! 自分の土地にどの程度の規模の建物が建ち、どれくらいの収益を得られるか、イメージできますか?
おそらく見当がつきにくいと思います。そこで出番となるのが、パートナーとなる建設会社。収益性というのは、土地や建物の広さだけでなく、エリアの特性、立地条件も大きな要因になります。建設会社が「そもそも賃貸マンションに向いている場所かどうか」も念頭に置きながら、土地を詳しく調査します。

マンション経営を成功させるために、まずは建設会社にマンション経営の思いや理想のビジョン、土地の現状について、相談することから始めましょう!

土地の測量とエリア調査を実施。土地の市場調査も重要な検討材料に。

賃貸マンションマスター
所有する土地が、どういった賃貸マンションに適しているか。それを知るためには、綿密な土地調査が必要です。
土地の形や道路の幅、高低差などを測る「測量」を行い、きちんと下水管や水道、ガスなど生活インフラの設備が整っているかもチェック。
さらに、土地の「用途地域」についても調査します。

建主・Aさん
「用途地域」? 初めて聞く言葉です。どういう意味ですか?

賃貸マンションマスター
ちょっと専門的なワードですよね。「用途地域」とは、行政によるまちづくりに基づき、建物の種類や規模を定めたものを指します。

参考:福岡市・都市計画情報マップ「福岡市Webまっぷ」(https://webmap.city.fukuoka.lg.jp/fukuoka/Portal)

「用途地域」は大まかに以下の3つに分類。
商業地……商業施設やオフィスやビルが集中するエリア
工業地……物流倉庫や工場が集中するエリア
住宅地……一軒家やマンションなど住宅が集中するエリア

土地がどのような用途地域に属するかを調べ、さらに建物の容積率や建ぺい率、高さの制限など、法的な規制についても細かく調査するんですよ。

建主・Aさん
へぇぇ、土地に対して建てられる範囲(建ぺい率)や、土地に対して建物空間の範囲(容積率)などがあるんですね。ここまで詳しく土地調査するとは知らなかった…!

賃貸マンションマスター
これだけじゃありません。この事業を成功させるためには、立地と顧客ニーズに合う賃貸マンションであることが必要不可欠。賃貸住宅の需要傾向と賃貸市場をしっかりと捉えなければなりません。

大事な調査項目は以下の3つ。
・人口と世帯数の調査
・入居者ニーズの調査
・周辺施設の調査

建主・Aさん
その土地が本当に賃貸マンションとして魅力的なのか、といった人の動きや人口に伴う市場調査も重要なんですね。

賃貸マンションマスター
そうそう。賃貸マンションの需要は人口・世帯数に左右されるので、土地がある地域の人口・世帯数の推移予測と、それをもとにした今後の賃貸住宅の空室率などを調べておくことが大切なんです。
そして前述の「用途地域」調査と併せて、市場調査も行われますよ。
その地域で取り扱われている賃貸住宅の傾向や現状、需要が見込まれる年代層・世帯構成から、入居者が求める賃貸住宅のニーズなどを分析します。
周辺環境の調査では、近くに交通機関や公共施設、教育機関、商業施設、銀行があるかなど、生活の利便性とまちの特性をリサーチ。これも賃貸マンションの事業計画において大事なポイントになります。

建主・Aさん
事業の基盤をつくるための調査ですね! 自分で調査するのは至難の業・・・建設会社がそこまでやってくれるなら、強い味方になるなぁ!

建主も入居者も満足できる、最適な設計プランを検討。賃貸経営の資金計画や収支についても知りたい…!

賃貸マンションマスター
土地調査の後は、建主と入居者の双方にとって満足度の高い賃貸マンションをつくるためのプレゼンテーションが始まります。
「その土地に最適な賃貸マンションとは?」のベストアンサーを、綿密な土地調査の報告とともに、建設会社から建主に提案するのです。

建主・Aさん
想像するだけでドキドキワクワクしてくるな〜。

賃貸マンションマスター
土地の特性やエリアマーケティングなどの分析結果をもとに、単身者向け、カップル向け、ファミリー向けといった賃貸住宅の種類や規模が選定されます。
そしてお待ちかね、設計プランの提案も! 地域の特性や入居者のニーズを考慮しながら賃貸住居の間取り、建物の品質、デザイン、設備の機能性、入居者に選ばれる利便性に至るまで、さまざまな側面からブラッシュアップされた設計プランを確認できることでしょう。世帯数や家賃設定、部屋の間取りなど建物全体をイメージできる資料を手にし、一つひとつ説明を受けながら検討していきます。

建主・Aさん
夢が広がりますね。と同時に、コスト面の心配も出てきますね。

賃貸マンションマスター
きっと大丈夫! 信頼性の高い建設会社なら、設計プランだけでなく、建主が一番気がかりなお金についても丁寧に案内してくれるはずですよ。
マンション建築に対する建築費などをはじめ、家賃収入、建物の維持・管理費の見込み額を算出し、どの程度の収益を得られるかをシミュレーションします。この際、節税のアドバイスも含め、堅実な賃貸経営を実現するための資金計画なども建設会社から提案してもらえるでしょう。

資金調達の面では、融資先の紹介や返済など、資金計画についてサポートをしてもらえるかと。賃貸経営のキャッシュ・フローの収支計画を確認することで、最適かつ現実性を持つ事業計画をじっくりと検討できると思います。

建設会社によっては類似物件の見学をお願いできるかもしれません。建築前とあって実物を見ることができないからこそ、設計プランに近しい物件を見学し、その規模感や運用状況を確かめることで具体的なイメージが掴めます。一度相談してみるといいですよ。

建築に向けて、いざ契約を締結!

賃貸マンションマスター
事業計画と設計プランに対して十分に納得できたら、契約内容を確認し申し込みへと進みます。

建主・Aさん
ついに建築に向けての契約かぁ。ある意味、ようやくスタートラインに立てるような気分…。いやいや、申し込みまでの前準備がいかに大切かを知ることができました!
マスター、ありがとうございました。

次回は、賃貸マンションの要である「設計」について詳しく学びます!